結果および考察

植物相調査

・赤城山覚満淵

植物相概況 

 現地調査によって、在来種36種の生育を確認した(表1)。これらのうち4種は絶滅危惧種または希少種である。また、いずれの種も本来の生育地が高山、山野、または湿地であることから、当地においてはかろうじて良好な水辺環境が維持されていると考えられる。しかし、以下に示すように一部の種については個体数が激減したり、またはワイド木道によって分布範囲が狭められつつあることも、明らかになった。国・準絶滅危惧種であるクサタチバナは、群落が2箇所確認された。総個体数は200個体以上と推定される。

ニッコウキスゲ個体数

大川(2005)の調査時においても個体数の減少が報告されていたニッコウキスゲは、今回の調査結果でさらに大幅な減少がみられた。

大川の調査時には、覚満淵の11カ所で開花個体が確認され、個体数は最大一カ所当たり18個体であった。しかし今回の調査では、保護柵(後述)外では2カ所で生育(つぼみをつけた個体を含む)が確認されたにとどまり、このうち開花していた個体はわずか1個体であった。また大川の調査で最大の個体数(18個体)を記録した地点においては、ササが生い茂り、ニッコウキスゲは確認できなかった。

2007年に群馬県自然環境課が設置した、ニッコウキスゲをシカの食害から保護する柵のうち3カ所の中についても、柵外からの目視により確認を行った。この結果、ニッコウキスゲの開花が確認されたのは1カ所(1個体)のみであった。柵内ではニッコウキスゲに良く日が当たるように、他の草本植物は全て刈りとられているが、見た目のニッコウキスゲの個体サイズは柵外の個体と大差ないか、むしろ小さいものも多かった。柵外ではネバリノギラン、ノハラアザミの食害痕が複数認められ、柵内では植物の食害痕は見られなかったので、柵はシカの食害被害の低減には効果があったのかもしれない。しかし、柵内の草刈りはニッコウキスゲの生長促進につながるような方法ではなかったといえる。すなわち、他の草本植物を全て刈りとったことによって、ニッコウキスゲ直近の土壌の乾燥化が進み、このため生長が促進されなかったと推察される。

ワイド木道の影響

 覚満淵では2001年に木道がワイド化されて以降、ニッコウキスゲの著しい減少が見られている(大川2005)。今回の調査時までにワイド木道はさらに延長され、覚満淵の湖面部分にかかる木道はすべてこれに置換され、数カ所に木敷の広場が設置された(写真12)。これらの敷設物はすべて、水生植物群落およびニッコウキスゲの生育場所を破壊するようにつくられている。こうした破壊的開発工事が、ニッコウキスゲのさらなる個体数の減少を引き起こした可能性は非常に高いと思われる。またワイド木道の直下と直近では、水生植物群落が著しく衰退し、消滅している部分も多くみられた。これは、ワイド木道によって日当たりが非常に悪くなったためと考えられる。以上のようにワイド木道は、覚満淵に生育する多くの植物の衰退を引き起こしていると考えられる。最も大きな悪影響を受けている水生植物群落には、複数の絶滅危惧種が含まれている。今回の調査によって、これらの絶滅危惧種はかろうじて生育を続けていることが確認されたが、今後もワイド木道の悪影響を受け続ける危険性は極めて高いと危惧される。

以上のように、赤城山覚満淵おいては、依然として専門家の知見を生かすことなく、不適切な管理を群馬県が行っていることによって、良好な水辺環境が次第に衰退しており、貴重な植物種も消滅の危機にさらされているといえる。

 

・玉原湿原

 現地調査によって、外来種1種、在来種44種、うち3種の絶滅危惧種または希少種が確認された(表2)。いずれの在来種も本来の生育地が高山、山野、または湿地であること、外来種が非常に少ないことから、当地においては良好な水辺環境が維持されていると考えられる。

大川(2005)の調査時にも繁茂が報告された「国内侵略的外来種」(日本生態学会 2002)であるハイイヌツゲは、今回の調査において一部で衰退していることが確認された。ハイイヌツゲは在来種であるが、玉原湿原に本来は生育していなかった種で、近年特に木道周辺において過度に繁茂し、玉原湿原に本来生育している植物の衰退を引き起こしているとされている(大川 2005)。今回の調査の結果、ハイイヌツゲは依然として木道周辺において繁茂していたが、湿原中央部の木道を撤去した部分では、衰退していることが明らかになった。この中央部分では、東京農工大学・植生管理学研究室の実践研究に基づいて水路が新たに設けられ、湿原の乾燥化を防ぐ対策がなされていた。ハイイヌツゲは、木道による水路の分断などによって乾燥化した湿原部分を生育地とするため、その除去には木道の撤去や水路の新設が有効であると考えられている(玉原湿原対策委員会 1992)。今回の調査結果は、これを裏付けるものと言える。また、ハイイヌツゲの衰退した湿原中央部分では、2005年時点で繁茂していたヨシ(大川 2005)も衰退しており、これらに呼応するように絶滅危惧植物種の個体数が増加していた。

以上のように、玉原湿原においては、専門家の実践的研究成果を反映した適切な管理を沼田市が行っていることによって、良好な水辺環境が継続的に維持され、貴重な植物種も保全されているといえる。


・   (株)アドバンテスト・ビオトープ

2009年10月22日に行った調査での土壌含水率は、水辺から0mの地点で87.5%、1mの地点で80.5%、2mの地点で81.0%、4mの地点で64.8%、6mの地点で49.1%、10mの地点で44.8%となった(表10)。また2009年12月17日に採取した土壌から算出した土壌含水率は、水辺から0mの地点で57.53%、1mの地点で44.02%、2mの地点で33.62%となった(表11)。

総土壌窒素濃度(TN)は、水辺から0mの地点で2.69mg/L、1mの地点で5.73mg/L、2mの地点で23.27mg/Lとなった(表11)。星野(2003)の調査時、水辺から2mの位置の土壌窒素濃度は11.71mg/Lから約2倍になったことになる。これは6年間で落ち葉などの分解により窒素が蓄積されて土壌が豊かになったことを表している。また水辺からの距離が近いほど、アンモニア態窒素比は高くなる傾向があった。

 現地植物相調査を行った結果をすべて合わせると、外来種18種、在来種50種の生育が確認された(表3)。このうち水辺では国・絶滅危惧II類に指定されているフジバカマ、群馬県・絶滅危惧II類に指定されているミコシガヤ、準絶滅危惧に指定されているミゾコウジュの継続的生育が確認された。

ライントランセクト法による植物相調査の結果、水辺から0mの地点ではヨシなど、1mの地点ではツユクサ・ヤブツルアズキ・セイタカアワダチソウなど、2mの地点ではフジバカマ・ヒメジョオン・ヘクソカズラなど、4mの地点ではヌカキビ・ヨモギなど、6mの地点ではチガヤ・ヨモギ・ノコンギクなど、10mの地点ではカジノキ・セイタカアワダチソウ・キツネノマゴ・ヨモギなどの生育が確認された(表10)。また土壌含水率は水辺に近いほど高くなった。これらの植物の生育特性をみると、水辺に近い土壌含水率の高いところには、水辺を本来の生育地とする植物が生育し、水辺から離れた土壌含水率のやや低いところには、山野を本来の生育地とする植物が生育するといった、環境傾度に沿った帯状の植生分布パターンが成立していることが明らかになった。

また土壌窒素分析の結果より、アンモニアを利用する植物が水辺に近い場所に生育し、硝酸を利用する植物が順々に陸域に生育していると考えられる。

以上により土壌含水率・土壌窒素濃度の傾度が移行帯を形成する要因になっていると推察される。

ビオトープのような自然再生事業においては、再生目標の一つとして水辺環境が入ることが多い。本研究の結果、この水辺環境の再生においては、水域と陸域を断絶させるのではなく、環境傾度をもって移行する、移行帯(エコトーン)を形成することが、植物種の多様性を高めることにつながることが明らかになった。

以上のように、(株)アドバンテスト・ビオトープにおいては、適切な設計とその後の専門家の継続的なモニタリング調査結果を基にした、「育成管理」を所有者が行っていることによって、良好な水辺環境が発展的に形成され、貴重な植物種の生育・保全につながっているといえる。

 

・板倉ウエットランド(渡良瀬遊水池、行人沼、朝日野池)

 絶滅危惧・希少種を中心とした植物相調査によって、外来種13種、在来種45種、うち14種の絶滅危惧種または希少種の生育が確認された(表4)。

 渡良瀬遊水池では、確認された7種のうち、5種が絶滅危惧または希少種であった。当地では、毎年行われるヨシ焼きによって春先の明るい生育環境が維持されており、このことが、希少な植物の生育につながっていると考えられる。

しかし、絶滅危惧種の確認された個体数は2008年(高橋 2009)と比べて少なかったことから、今後も継続してモニタリング調査を行い、個体数の変動幅が大きいのか、減少傾向にあるのかを見極める必要があると考えられる。

朝日野池では、2008年(高橋 2009)に引き続き、多種の絶滅危惧種および希少種の生育が確認された。このうち準絶滅危惧種であるミゾコウジュが、2008年と比べて非常に多くの地点で群生していたことが特筆すべきことである。

当地は調整池であるため、年々の水位変動が著しい。2008年の夏は台風直撃の影響で水位が極端に上昇し、池端が数メートルにわたって長期間水没した。このため今回の調査に比べて、夏以降生育が確認された植物種の種数・分布面積ともに少なかった。今後も継続してモニタリング調査を行い、年々の水位変動に伴う個体数の変動幅を明確にする必要があると考えられる。

 行人沼では、2008年の調査結果(高橋 2009)に引き続き、準絶滅危惧種のトチカガミの生育が確認されたが、ヒメビシの生育は確認できかった。トチカガミはかつて群馬県内では絶滅したとされていた(群馬県 2001)。今回の調査結果により、近年行人沼で復活したトチカガミが、この2年間連続して生育していることが確認されたことになり、今後さらに生育が継続し、増殖していく可能性が期待される。

 

・西榛名

 現地調査によって、外来種3種、在来種65種、うち19種の絶滅危惧種または希少種の生育が確認された(表5)。全調査地のうちでは最も多くの在来種数、絶滅危惧種および希少種数が確認されたことになる。

棚田、ため池、休耕田のある「大谷」では、ナガミノツルキケマン(国・準絶滅危惧)、イトモ(国・絶滅危惧II類)、ミズニラ(国・準絶滅危惧、群馬県・絶滅危惧II類)などの継続的生育が確認された。また「大谷 七番目のため池」周辺では、2006年に群馬初記録となったシドキヤマアザミの群生が確認された。

 「新桜台」では、ナガミノツルキケマン(国・準絶滅危惧)などの継続的生育が確認された。

 西榛名地域は里山としての景観を今日に残しているばかりでなく、多くの絶滅危惧種・希少種が生育するなど、在来植物の生育状況も極めて良好であるとされる(高橋 2009)。実際、2005年-2007年に群馬県自然環境調査研究会によって行われた当地域における植物相調査によっても、シダ植物と種子植物をあわせて813種が確認され、うち絶滅危惧種・希少種30種の生育が確認されている、極めて植物種多様性の高い地域である(大森 2008)。今回の調査研究の結果、植物種多様性の高い場所は特に水辺周辺に集中していること、またその直近での伝統的なコナラ二次林の農業における利活用によって水辺の環境の多様性が維持されていることが明らかになった。今後保全対策を検討してく際には、こうした立地条件を保全することを基盤としていかなくてはならないと考えられる。

 

・石田川流域

 現地調査によって、外来種13、在来種26種、うち5種の絶滅危惧種または希少種の生育が確認された(表6)。

 妙参寺沼親水公園では群馬県絶滅危惧I類のアサザが確認されたが、これは植栽されたものと思われる。妙参寺沼は江戸時代に開削されたと考えられている人工の沼で、300m北にある矢太神(やだいじん)水源を利用するための調整池である(現地の看板より・写真9)。このため湖岸は垂直に切り落とされたコンクリート護岸であり、そもそも水生植物群落の形成には適さない。そこで景観造成のために、水生植物が植栽されたものと推察される。この公園の北に近接するほたるの里公園は、石田川の源流である湧水の湧く場所である。源流直下の流域では、在来種であり準絶滅危惧種であるカワヂシャと、特定外来種であるオオカワヂシャが近接して生育していた。

 天沼親水公園は、天沼直近に造成された公園であり、自然景観とは全くかけ離れた庭園風の景観が造成されている(写真8)。ここには、オオカワヂシャ、アメリカセンダングサ、オオブタクサといった、水生または水辺を生育地とする外来種が生育していることが確認された。これらが種子源となって、下流域に拡大していくことが危惧される。一方、絶滅危惧II類の植物1種の生育も確認されたことから、もともとは良好な水辺環境であったものが、公園造成工事などによって破壊されたとも推察される。

 これらの公園より南にある石田川中流部においては、外来種であるオオセキショウモ、オオカワヂシャが多くの地点で繁茂していた。またガマと、準絶滅危惧種であり群馬県絶滅危惧I類の植物の生育が確認された。いずれも1カ所で生育が確認されたのみであるので、今後も継続してモニタリング調査を行い、特に外来種のオオセキショウモの動態との比較を注意深く行う必要がある。

 

・伊勢崎世良田周辺

 現地調査によって、外来種7種、在来種27種の生育が確認され、うち2種が絶滅危惧種または希少種であった(表7)。当地は広大な水田地帯であるが、減反のためか休耕田が多く見られる。しかし休耕中も、雑草防除のため耕起して湛水している部分も広く存在した。こうした耕起・湛水を施された休耕田において、2種の絶滅危惧種または希少種が確認された。確認された希少種は農薬に弱いため、通常のように農薬を使用している水田においては生育が阻害されて減少している。世良田周辺の休耕田は、雑草防除に農薬を使用していないため、生育することが可能になっていると考えられる。

確認された2種の絶滅危惧種または希少種は、ミズマツバ(国・絶滅危惧II類)およびミズワラビである。ミズワラビは農薬使用に負けて全国的に減少しており、多くの県別レッドリストにおいても絶滅危惧種に指定されている。

ミズワラビは大群落が確認され、1平方cmあたり1個体が存在すると推定されたので、確認面積から約70万個体生育していると算出でき、実際はもっと広い面積に生育しているので、100万個体以上存在すると推定される。またミズマツバは10個体確認された。

 

・才川

 現地調査によって、外来種4種、在来の絶滅危惧種1種および希少種1種の生育が多数確認された(表8)。確認された外来種は、特定外来生物であるミズヒマワリとオオフサモ、およびホテイアオイ、オオセキショウモ、である。これらの外来種はいずれもアクアリウム・プラントとして、意図的に日本に導入された後に野外に遺棄されて定着したとされている(石川ら 2009)。すでに才川全域にわたって30地点以上に巨大個体群を形成しており、在来希少種と競合している可能性が高いと考えられる。下流端にあたる渡良瀬大橋直下のミズヒマワリ個体群は、2009年初頭に国土交通省渡良瀬川河川事務所によって刈り取り駆除された。今後は才川全域にわたって、ミズヒマワリの駆除を実施する必要がある。

 ミズヒマワリは中南米原産の熱帯性の植物であるため、これまで寒地では越冬できないとされていたが、群馬県の南部の河川で、次々に越冬個体群が発見されている(石川ら 2009)。才川は佐野市内の人丸神社横の湧水を源流とするので冬季においても水温が高く、このためミズヒマワリが大増殖しているものと推察される。

 

 

発芽の温度特性

・オモダカ(オモダカ科抽水性多年草本、Sagittaria trifolia L.

 本種は日本全土に分布する在来種であり、湖沼、ため池、水路や水田に生育する。

 60日間の冷湿処理を施した後の25日間の発芽実験において、全温度域にて全く発芽していなかった(図2)。またこの25日間の発芽実験の後、再度42日間冷湿処理を施した後の発芽実験においては、殆ど発芽はみられなかった(図7)。以上より本種の休眠解除のためには、2ヶ月を越える複数回の冷湿処理が必要であると推察される。また本種は野外において永続的シードバンクを形成し、地上部が一時的に消滅しても、ここから復活してくる可能性が高いと考えられる。同属のサジオモダカでも、同様の特性が推定されている(高橋 2009)。

 

・ヒロハノハネガヤ(イネ科多年性草本、Stipa coreana Honda var. kengii Ohwi

 本種は北海道、本州(関東地方除く)、四国、九州に分布する在来種であり、冷温帯〜亜寒帯の森林に生育する。

 60日間の冷湿処理を施した後の25日間の発芽実験において、全温度域にて全く発芽しなかった(図3)。またこの25日間の発芽実験の後、再度42日間冷湿処理を施した後の発芽実験においても発芽はみられなかった(図8)。以上より本種の休眠解除のためには、2ヶ月を越える複数回の冷湿処理が必要であると推察される。また本種は野外において永続的シードバンクを形成し、地上部が一時的に消滅しても、ここから復活してくる可能性が高いと考えられる。  

 

・ツリフネソウ(ツリフネソウ科一年性草本、Impatiens textori

 本種は北海道、本州、四国、九州に分布する在来種であり、山地に生育する。

60日間の冷湿処理を施した後の53日間の発芽実験において、最終発芽率は25/13℃で最大(約52%)となり、10/6℃において最小(約30%)となった(図4)。またこの53日間の発芽実験の後、再度32日間冷湿処理を施した後の発芽実験において殆ど発芽はみられなかった(図9)。石川が2007年に3ヶ月の冷湿処理を行ったところ、冷湿期間中に59.9%の種子が発芽した。また高橋(2009)が冷湿処理を行わないで培養したところ、全く発芽しなかった。以上の結果より本種の種子の休眠解除のためには、2ヶ月程度の冷湿処理が有効であると考えられる。また一連の冷湿処理-培養の間に発芽しなかった種子群は、非常に深い休眠状態にあると推察される。このため本種は野外において永続的シードバンクを形成し、地上部が一時的に消滅しても、ここから復活してくる可能性が高いと考えられる。 

 

・アメリカタカサブロウ(キク科一年性草本、Eclipta alba

 本種は熱帯アメリカ原産の外来種で、水田の畦、畑、道ばたなどに生育する。

 60日間の冷湿処理を施した後の53日間の発芽実験において、最終発芽率は17/8℃で最大(約55%)となり、10/6℃において最小(約11%)となった(図5)。またこの53日間の発芽実験の後、再度32日間冷湿処理を施した後の発芽実験において、17/8℃において約1%、10/6℃において約27%が追加で発芽した(図10)。このような発芽の温度依存性を有する植物は、攪乱地など地温の高くなる立地を選択して発芽するものと考えられる。また一連の冷湿処理-培養の間に発芽しなかった種子群は、もう一度冬を経験すると低温でも発芽できるようになるものと考えられる。このような特性を有する外来植物は、人間が耕作や工事などで土壌を攪乱した立地において生育しやすいと考えられ、典型的な水田雑草であるといえる。

 

・シドキヤマアザミ(キク科多年性草本、Cirsium shidokimontanum

 本種は本州中部などに自生する在来種であり、山野に生育する。2002年に門田裕一氏によりキク科アザミ属の新種として論文発表された種である。

 冷湿処理を施さずに行った31日間の発芽実験において、最終発芽率は30/15℃において最大(約59%)となり、10/6℃において最小(約9%)と、全温度域において発芽した(図6)。このような発芽の温度依存性を、冷湿処理の必要なく有する植物は、攪乱地など地温の高くなる立地を選択して速やかに発芽するものと考えられる。西榛名地域において、本種がため池造成地や農作業道周辺など人為的攪乱のある立地で多数生育が確認されているのは、こうした発芽特性に起因するものと考えられる。




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